給付基礎日額スライド制

現物給付を除く保険給付は、長期間に渡って受給する場合が少なくありません。事故発生当時の賃金水準で給付を続けることは、本来稼得できるであろう賃金の補填を目的とする労災保険の趣旨に反するので、賃金水準の変動に応じたスライド制で目的を達しようとするものです。

休業(補償)給付のスライド制

休業給付スライド

四半期ごとの平均給与額が、算定事由発生の属する四半期の平均給与額の110%を超え又は90%を下回ったときに給付基礎日額のスライド改定が行われます。

改定された休業給付基礎日額は10%を超えて変動した四半期の翌々四半期に属する最初の日以後に支給すべき事由が生じた休業(補償)給付から適用されます。

平均給与額とは?

厚生労働省が毎月作成する「毎月勤労統計」における労働者1人あたりの毎月決まって支給する給与の額(平均定期給与)を基礎として算定した労働者1人あたりの給与の平均額をいいます。

年金保険給付のスライド制

年金給付スライド

休業(補償)給付のスライドとは異なり、年度単位の平均給与額の変動率を基礎としてスライド改定が行われます。また、休業(補償)給付のスライドでは、10%を超える変動がないと改定されませんでしたが、年金スライドは完全自動賃金スライド制がとられています。

算定事由発生日が属する年度の平均給与額が基準となり、翌年度の平均給与額との変動率を基準として、年金給付基礎日額が改定され翌々年度の8月から適用されます。したがって、年金給付基礎日額の改定は毎年行われます。(もちろん平均給与額に変動がなければゼロ改定です。)

A年度の年金給付基礎日額はC年度の8月からD年度の7月まで改定日額が適用され、D年度の8月から新しい改定日額の適用が始まります。

一時金のスライド制

障害(補償)一時金、遺族(補償)一時金、葬祭料(葬祭給付)の額は、年金給付基礎日額と同様のスライド改定が行われます。

特別支給金のスライド制

休業特別支給金は休業(補償)給付と同様のスライドが行われ、障害特別年金、障害特別一時金、遺族特別年金、遺族特別一時金、傷病特別年金は年金給付基礎日額と同様にスライド改定が行われます。

年齢階層別最低・最高限度額

年金給付は長期間に渡るため、若年期に定められた低額な給付基礎日額が続いたり、壮年期に定められた高い給付基礎日額が老年になっても続けられていると、年齢による不均衡が生じてきます。そこで、年齢階層別に最低・最高限度額を設けてその範囲内で給付基礎日額を定めるようにします。

毎年、8月1日現在の被災労働者の年齢を1年間の年齢として各階層にあてはめます。また、遺族(補償)年金にあっては、死亡労働者が存命であると仮定し、各階層に当てはめます。

この年齢階層別最低・最高限度額が適用されるのは年金給付のみで、一時金には適用されません。

長期療養者の休業給付基礎日額

療養を開始して1年6ヶ月を経過した日以後も休業(補償)給付を受けている場合、年齢階層別最低・最高限度額が適用されます。

支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日ごとの年齢を階層別に当てはめます。

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