給付基礎日額

労災保険制度では、業務災害や通勤災害により負傷したり疾病にかかって稼得能力を失ったときに、その治療を行い、稼得能力の補填を現金支給により行っています。この現金支給の基準となるものが給付基礎日額と呼ばれるもので、治療などの現物給付を除く保険給付額の基礎となっています。

現金支給の給付を行う場合は、給付基礎日額の○日分という表現で給付額を明示します。

給付基礎日額の算出

給付基礎日額は労働基準法の平均賃金に相当する額です。(1円未満の端数があるときは1円に切り上げます。)

給付基礎日額=算定事由発生日以前3ヶ月間に支払われた賃金の総額÷3ヶ月間の総日数

実際の運用に際しては、算定事由が発生した日は含まずその前日から3ヶ月間となります。また、雇い入れ後3ヶ月未満の者に関しては、雇い入れ後の期間を算定期間とします。賃金締め切り日がある場合は、算定事由発生日の直前の賃金締め切り日を起算日とします。

次の休業期間等がある場合は、日数、賃金とも除いて算出します。

  • 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
  • 産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児休業又は介護休業をした期間
  • 試みの使用期間

次の賃金は、賃金総額から除いて算出します。

  • 臨時に支払われた賃金(結婚祝い金、大入りなど)
  • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
  • 通貨以外のもので支払われた賃金で、一定の範囲外のもの(現物給与など)

一定の範囲に属するもの

支給される通勤定期がこれに当たります。

給付基礎日額の特例

平均賃金相当額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、所轄労働基準監督署長が算出した額となります。

じん肺特例
次のいずれか高い方を給付基礎日額とします。
・診断によってじん肺発生が確定した日を基準とした平均賃金相当額
・じん肺に罹ったため粉塵作業以外の作業に常時従事することとなった日を算定事由発生日とみなして算定した平均賃金相当額
私傷病の期間と賃金
次のいずれか高い方を給付基礎日額とします。
・原則の計算により算出した平均賃金相当額
・私傷病のため休業期間及びその期間中の賃金を、平均賃金の算定期間及び賃金総額から控除した場合における平均賃金相当額
親族の疾病又は負傷等の看護のため休業した期間
次のいずれか高い方を給付基礎日額とします。
・原則の計算により算出した平均賃金相当額
・親族の疾病又は負傷等の看護のため休業した期間及びその期間中の賃金を、平均賃金の算定期間及び賃金総額から控除した場合における平均賃金相当額

その他の場合は厚生労働省労働基準局長が定める基準により算出した額を給付基礎日額とします。

最低保障額

算出された平均賃金相当額が、自動変更対象額に達しないときは給付基礎日額を自動変更対象額とします。

自動変更対象額とは?

厚生労働省で作成する「毎月勤労統計」における労働者1人当たりの毎月決まって支給する給与の額の4月分から翌年3月分までの各月分の合計を12で除して得た額を「平均給与額」といい、その平均給与額の上昇又は低下した比率に応じて、毎年8月1日に変更されます。

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